高値で家を売るには準備が9割! 1ヵ月以内に売り切る不動産売却戦略の立て方

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この記事を書いた人
畑中 学・不動産コンサルタント畑中 学・不動産コンサルタント
著書『2時間で丸わかり 不動産の基本を学ぶ』(かんき出版)他多数。
戸建てを売ってお金に替えたい、新居の資金にしたい……。
家を売るには、不動産会社(不動産仲介会社)に任せるしかない、と思っていませんか?
実は、売る側である売主がやっておいたほうがいいこと、高値売却につながることがいろいろあります。
不動産会社とのやりとりがスタートする前の事前準備こそ売却の明暗をわけるのです。

そこで今回は、戸建ての売却を成功させるために……


  • ・家の売却を成功させるための3原則
  • 不動産会社に駆け込む前にしておくべきこと
  • 査定のつけ方から不動産会社を選ぶ方法
  • 初対面で不動産会社の担当者を見極める5つの質問
  • ・早く売るための不動産会社との契約方法
  • ・高値で1ヵ月で売却するための販売戦略の立て方
  • ・契約に結びつけるための内覧テクニック
  • 信頼できる買主の選び方

など、これまで私が関わってきた実際の取引事例を紹介しながらくわしく説明いたします。

目次

「高く」「ストレスなく」「トラブルなく」が家の売却3原則

今度、自宅を売ろうかと思っているんだ。
子どもも巣立って、夫婦二人になったから、マンションに住み替えるのもいいかなぁ。
いいですねぇ。
駅前の不動産屋さんに聞いてみようかな。
実は不動産屋さんに掛け合う前に、自分でやることがたくさんあるんです。
えー、任せきりじゃダメなの?
面倒だな。
高く売れれば何でもいいんだけど。
高いだけじゃ、ダメですよ。
家を売るなら「高く」「ストレスなく」「トラブルなく」でなくちゃ。

売主の努力で数十万~数百万円の価格アップが可能

戸建ての売却を考えたとき、ほとんどの人が、不動産会社(不動産仲介会社)に「いくらで売れるか」を尋ねます。

実はこれが、大きな間違い。
なぜなら、不動産の価格は「定価」が決まっているわけではないからです。

「定価」がないということは、どういうことでしょうか。
それは、いろいろな要素によって、価格が大きく揺れ動くということです。

例えば、買主の心理状況他の物件の状況次第で、価格は高くも安くもなります。
売主がそれを知って準備をするかどうかで、売却価格(売り出し価格)に差が出るのです。

不動産は、数千万円単位の価格がつくことも珍しくない「高額商品」。
ほんの数パーセントの違いが、数十万円から数百万円にもなります。

「いくらで売れますか」と、不動産会社に尋ねるのではなく、まずは「自分の家の価値を上げること」からスタートしましょう。
ほんのちょっとした努力や工夫で、数十万円、数百万円の価格アップができるのです。

まずは、価格を下げないポイントについて解説します。

不動産は生ものと同じ。売れ残りは大きなダメージになる

まず覚えておいてほしいのが、「不動産は生もの」ということです。
生もの?
市場に出まわってからどのくらいで売れるかどうかが問題なんです。
鮮魚と同じかぁ。
ネットに情報を出しても、売れ残ってしまうと、古いイメージがつき、ますます売れにくくなるんです。
古くなるほど価値が下がるってわけだ。

最初にネットに掲載されたときが、旬。
売り損なえば「売れ残り」というレッテルを貼られ、価値は急激に下がります

「売れないから何か問題があるのかも」
そう思われたが最後、適正価格で売ることも難しくなってしまうでしょう。

最初だけでも、ちょっと相場より高い値段をつけよう……。
売れなければ値を下げてもいいかな……。
こんなふうに思う売主もいるでしょう。

けれども、一歩間違えば、古いバナナのように、たたき売りされてしまうリスクがあることを、忘れないでください。

高く、しかもストレスなく売るには、「旬」を逃さず売却できる工夫が必要です。

家を売るのは3ヵ月限定の楽しいイベント

大変そうだなぁ。
誰か代わりにやってほしいよ。
逃げ腰はダメですよ。
いっそ、家族のイベントとして、楽しんだらどうですか?
イベント?
そう。売却までは早ければ1ヵ月。長くて3ヵ月です。
だから、家の売却は3ヵ月限定の家族のイベントです!

家を売るという決断の背景には、家族の歴史の節目があるはずです。
お子さんが独立してご夫婦だけになる、ご主人の定年を機に新たな人生のスタートをきる……。
この節目を、ただ「面倒くさい」と思うのではなく、あえて家族全員が参加する「楽しいイベント」ととらえてはいかがでしょうか。

3ヵ月限定の一大イベントを楽しむつもりで、みなさんで積極的に参加しましょう。

不動産会社に駆け込む前に!これだけはしておきたい売主の準備

人任せにしないことが大事なのか……。
でも、不動産の素人に売却なんてできるのかな。
「専門家」に相談するとしても、基礎知識があるかどうかで、売却額に大きく差がつくんですよ。

エリアの不動産の取引価格を調べておく

家を売却するときに知っておかなくてはならないのは、「実勢価格」。
実際に取引されている価格のことです。

不動産という商品は、車などと違ってまったく同じものは存在しません。
その家ごとに、どの程度の価格がつくのかはケースバイケースです。

それでも、家を売却しようと思ったら、ある程度の価格帯をあらかじめつかんでおくことが、とても大切です。

不動産価格は、エリアごとに売れる価格帯がほぼ決まっていて、そこから大きく外れた価格設定をすると、いつまでも売れないからです。

とくに中古住宅の場合、エリアを特定して物件を探す人が多く、たいてい予算と地域を決めています。

例えば、戸建て相場が4000万円のエリアで、1億円の物件があったとします。
この物件、売れると思いますか?

実は1億円の価値があるような豪邸でも、売れ残る可能性大

そもそもそのエリアで中古物件を希望する買主のなかで、1億円の物件を検索する人なんて、ほぼいないからです。

要するに相場を間違えてしまうと、物件自体、誰からも見つけてもらえなくなるのです。

こうした事情を知らないまま、不動産会社に査定を出してもらうと、ときには自分の家が不当に安く評価されたように感じることがあります。

いくつ不動産会社を回っても、査定額に納得できなくなります。

また、適正価格で販売できたとしても、どこか損をしたような気になってしまい、後々まで不満が残ることにもなりかねません。

我が家の価値を正しく見極めるためにも、あなたの家のあるエリアの価格相場は、きちんと把握しておいてください。

売却の流れを押さえる

価格相場がわかったら、いよいよ業者に相談?
まだですよ、準備が肝心。
準備さえできれば、売却の9割は終わったようなものなんですから。

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多くの人は、不動産会社と媒介契約をすることから売却活動が始まるように考えていますが、実は、不動産会社と契約したときには、ほぼ成否は決まっているようなものなのです。
売却活動のなかでカギを握るのは、前半の「販売活動」が始まるまで

なかでも、売主の役割で重要なのは、不動産会社・担当者選びです

任せられると思える、いい担当者と出会えれば、そこで勝負は決まってしまいます。

不動産売却をするときには、不動産会社の担当者の知識や、経験に基づいた直感が、大きくものをいうからです。

どんな人に依頼をしたかによって、よい売却ができるかどうかは大きく変わります。
それほど、不動産売却には、「はじめの一歩」が大事なのです。

自宅のアピールポイントも欠点も、すべて箇条書きにする

まず、家族で集まって、ご自宅のアピールポイントをどんどん書き出してみてください。
我が家のいいところを洗い出すんだね。
それから、悪いところもきちんと洗い出してくださいね。
自分の家を冷静な目で見るために、必要なんです。

売主が適正に価格を判断するには、「エリアの相場を知る」ことが大切なことは、お話ししました。
CHECK エリアの不動産の取引価格を調べておく

同時に忘れてはならないのが、「自宅を冷静に見つめ直すこと」です。
なぜなら売主はほぼ例外なく、自分の不動産を「高く見積もってしまう」傾向にあるからです。

まずは、家を「買主の目線」で冷静に見て、いいところも悪いところも、すべて箇条書きにしてみてください。

買主目線で考えるべき項目

  • ◯地域のこと
  • ◯利便性
  • ◯広さ
  • ◯間取り
  • ◯築年数
  • ◯設備  など

いいところは、より強くアピールするにはどうしたらいいかを考えます。

悪いところを考えるときは、「自分がこの家を買うなら」という立場で、厳しい目で家を眺めてみます。

そうすれば、より我が家を客観的に判断することができるようになります。

新築プレミアムを理解しておく

思い返せば我が家は新築住宅で購入して、ピカピカだったんだよなぁ。
厳しいこと言うようですが、築年数が古ければその分安くなります。
実は、新築というだけで、2割ぐらいは上乗せされているんです。
中古になった瞬間、8割の価値に下がるということ?
日本人独特の感覚らしいのですが、これを「新築プレミアム」と言うんです。

自分の家には誰でも愛着がありますが、そのために家の価値を見誤ることがないように、気をつけなくてはいけません。
とくに、新築を購入した場合には、「新築プレミアム」が上乗せされていることを理解しないと、査定された価格に納得できないこともあります。

例外もありますが、査定をするときには、新築時の購入価格を基準にするのではなく、そこから2割下げた金額を基にして、現在の価値を考えなくてはならないからです。

売主の目を曇らせてしまう原因は、他にもあります。

売主の目を曇らせる勘違い

  • バブル期のイメージが抜けきらない。
  • 自宅への愛着が強く、近隣の同じような物件の価格を伝えても納得しない。

勘違いで目が曇る人たちは、不動産会社が適正価格を示しても、「うちは違う、もっと高いはず」と認めようとしないのです。
残念ながら、こういう姿勢でいては、満足のいく売却は難しいと言わざるをえないでしょう。

不動産会社がやってくる! 
初対面への準備から家の売却は始まっている

不動産会社の担当者が来た瞬間から、家は「商品」になります。
まず、担当者に商品としての価値を感じてもらうこと。
さらに「この商品を売ってみたい」という意欲を引き出すことが重要です。

商品である家の品定めは、買主候補が訪れる内覧が「本番」です。
でも不動産会社の査定を受けるときにも、家の「身だしなみ」ぐらいは、整えておきたいものです。
目の利く不動産会社なら、「買主が買いたいと思う家」には、とても敏感です。
直感的に「売れそうだ」と判断すれば、「どうしたら高く売れるか」を積極的に考えてくれるでしょう。

また、以下の書類は、売却をすすめる際に必要になるので、できる限り整えておきましょう。

  • 設計図書
  • メンテナンスやリフォームに関する書類
  • 借入金等の書類

  • 一番大事なのが、家の設計図や仕様書を記録した「設計図書」です。
    購入者が住宅ローン「フラット35」を申請できるかどうかを知る大切な書類ですから、必ず準備しておいてください。

    また、メンテナンスやリフォームをしたのであれば、それに関する書類も必要です。

    住宅ローンが残っている場合には、売却価格がローン残高を上回る必要があるかもしれません。
    借入金等の書類も、必要に応じて準備しておきます。

    不動産会社に言われてから、ばたばたと探し回るのではなく、あらかじめ整えておくことで、売主の手際よさと「本気度」が伝わるに違いありません。

    査定額のつけ方で不動産会社の実力がわかる

    地元で評判のいい不動産屋さんが、2軒も見つかったよ。
    あとは大手不動産会社にも連絡をとってみてくださいね。
    そんなに来てもらうの?
    少なくて3社、多くて5社ぐらいが理想です。
    営業態度も考え方も、会社ごとにかなり違いますからね。
    会えばわかりますよ。

    「査定は1社のみ」は危険。3~5社の業者に頼む

    不動産会社を選ぶとき、「1社に頼めば安心」という人も多いですが、査定は必ず1社のみではなく、複数の業者に頼みましょう。
    なぜなら、査定価格を見れば、その不動産会社の考えや、営業の仕方がわかるからです。

    査定をおこなうときは、査定内容を記した査定書がつくられます。
    査定書は、基本的に家を評価してもらうための書類です。
    が、じつは売主が業者を評価するのに必要な、大事な書類ともいえるのです。

    高額の査定をうのみにするのは危険

    せっかく複数の不動産会社に査定をしてもらっても、細かく査定書を見ることもなく、査定価格だけで契約してしまう人もいるようです。
    多くの人が陥りやすいワナですが、決して根拠がない高額の査定に惑わされてはいけません。

    当然のことですが、査定価格は「売り出し」をするために提示された価格です。
    ゆめゆめその金額で買ってもらえるのだと勘違いしてはいけません。

    A社よりB社のほうが300万円も高く見積もってくれたんだよ。
    一番高い査定額のところに決めたらいけないの?
    危険ですよ!
    それは、ワナかもしれません。
    ワナ?
    契約を取ろうとして、あえて高めの査定をしているかもしれません。

    もし高額の査定額を提示した不動産会社と契約したとします。
    その不動産会社が提案する販売金額が適正でなかった場合どうなるでしょう。
    やがて不動産会社は、「売れないようですから、値を下げましょう」と、言ってくるかもしれません。

    それでは、時すでに遅し、です。
    売り出し開始から時間がたってしまっているため、不動産の旬が終わってしまっています。
    CHECK 不動産は生ものと同じ。売れ残りは大きなダメージになる

    本来なら適正価格で売れたはずの家が、相場より安い価格で買いたたかれることになってしまうのです。

    これほど「根拠がないままいちばん高い査定額の会社に決める」ことにはリスクがあるのです。
    根拠なき高額査定のワナにはまらないよう、注意が必要です。

    「最初から適正価格で」がベストの選択

    売却価格を決めるときには、適正価格を守ることが大事です。
    中古住宅希望者の多くは、価格を設定して検索します。
    高すぎるのはもちろん、低すぎても買主が見つかりません。

    適正価格には幅があります。
    担当者にエリアの「適正価格の幅」がどのくらいかを質問してください。
    提示された適正価格の範囲内で、高めに設定することをおすすめします。

    適正価格の幅を大きく外れない範囲に収まっていて、なおかつあなたが納得できる価格であることが重要。

    エリアの買主が、素通りしないような価格を見つけるのです。

    査定額の根拠をひとつひとつ、自分の目でていねいにチェックする

    不動産会社2~3社に無料査定を頼むと、査定額が一律ではないことがわかります。
    各社で査定額に差が生まれるのです。
    場合によっては、数百万円以上違うということもあります。

    しかし、実はどの不動産会社も使っているデータベースは同じなのです。
    エリア内で成立した物件事例、今販売している物件事例のデータはレインズという不動産取引情報提供サイトに登録されます。
    不動産会社はこのデータベースを利用して、査定額を割り出しています。

    それにもかかわらず、査定額に開きが生じるのはなぜなのでしょう?

    ここに不動産会社の担当者ごとの考え方の違いが表れます。

    担当者に「なぜこの査定額なのか?」と根掘り葉掘り聞いてみましょう。
    そのときに示される「査定額の根拠」で、担当者の力量がわかります。
    いい加減な不動産査定で、契約欲しさに高値にしていたりしないかもチェックできます。

    家も見ないで、いきなり査定の話をする業者には要注意

    昨日の担当者はスマートだったな。
    スマートと言いますと?
    テキパキしていた。
    リビングでさっと書類を出して打合せがスムーズに進んだよ。
    家は見なかったんですか?
    うん。
    他の業者は棚を開けたり蛇口を開けたりして、結構面倒だったなぁ。
    テキパキ見えた不動産屋さんより、他の業者のほうが優秀だと思いますよ!
    えー、そうなの?
    家を見もしないで査定するなんてダメな証拠。
    プロなら家のなかをひと通りチェックするものです!

    査定には、2種類あります。
    机上査定」と「訪問査定」です。
    机上査定」とは文字通り、机の上でデータに基づいて価格を算出する査定です。
    訪問査定」とは実際に訪問し、不動産を見たうえで価格を算出する査定です。
    ネットの不動産一括査定サイトなどは机上査定の一種です。

    家に来て渡された査定書は、みな「訪問査定」と考えがちですが、そうではありません。
    玄関からリビングに通されてソファに座り、会社で作った査定書を渡したのなら、それは「机上査定」

    その査定書には机上のデータしか反映されていません。

    一方、多くの業者は、実際に家の中をチェックして状況を把握してから、査定額を算出します。
    これを「訪問査定」といいます。
    持ってきた査定書に書き込むこともあれば、会社に戻って新たに訪問査定を反映した結果として、査定書を作り直すこともあります。

    いずれにしても、担当者が家の実態を把握したうえで算出した訪問査定のほうが、価格としても妥当であり、かつ売主としても納得できるということはいうまでもありません。

    査定書を比較検討する際には、実態がどの程度反映されたものになっているか、その価格の根拠を担当者に尋ね、売主としてきちんとチェックしてください。

    売却の成功は「担当者」で決まる!

    家内が、やっぱり大手の不動産会社じゃないと心配だって言うんだよね。
    気持ちはわかりますが、大手だから安心とは言えません。
    会社の大きさ以外に、何を決め手にすればいいんだろう。
    大事なのは、不動産屋さんの規模や知名度ではなく、担当者です。
    売却の成否は、いい担当者にあり!

    7割の担当者は、「必要最低限」のことしかしない

    担当者の良し悪しといっても、「悪い担当者」がいるわけではありません。
    何もしてくれない担当者」がたくさんいるので要注意です。

    「何もしてくれない」というのは文字通りの意味ではなく、「必要最低限」の業務しかやらないということ。
    つまり価格を査定し、契約し、ネットに載せる、それしかしてくれない担当者ということです。

    家が売れてしまえば問題はありません。
    ただ、そういう担当者と売却をすすめても、100%満足のいく売却にはならないでしょう。

    売却をするときは次の3つを目指しましょう。
    ①「高く」
    ②「ストレスなく」
    ③「トラブルなく」

    「いい担当者」とは、この理想のために、親身になって協力してくれる人のことです。

    いい担当者ってどのくらいの割合でいるものなの?
    7割の担当者は、「必要最低限」の仕事しかしてくれない、と思って探したほうがいいですよ。
    じゃあ、本当にいい担当者は3割しかいないのか……。
    3割というのは、ひとつの目安ですが、そこまで多くないと考えておきましょう。

    いくつもの不動産会社に連絡をとり、何人もの担当者の話を聞くのは、ちょっとたいへんかもしれません。

    でも、「人任せでラクしよう」という姿勢ではなく、自分が当事者となって、積極的に売却に関わる気持ちこそ大事なのです。

    我が家の売却は「3ヵ月限定の、楽しいイベント」と捉えたとき、担当者はそのイベントを手助けしてくれる人です。
    一緒にチームを組んで売却イベントを頑張り抜ける相手かどうか
    そういう目で選べば、「3割」のなかにいるいい担当者を見つけ出すことができるはずです。

    仲介契約を結ぶ前に最低3人の担当者と会おう

    「いい担当者は3割」ということから考えると、10人会えば3人ぐらいは、「いい担当者」に巡り会えるということでもあります。

    査定を頼む際に、3~5社程度は比較したほうがいいと言ったのには、そういう理由もあるのです。
    おそらく、3~5社の担当者と話をすれば、1~2人程度は、「この人だ!」と、思える人に出会えると思います。

    大手の不動産会社かもしれませんし、地元で長年営業している不動産会社かもしれません。
    それは、会社の大きさには関係ないのです。

    いい担当者は3割しかいないと思え!

    担当者選びは一番エネルギーを使うところかもしれません。
    でも、「よい担当者に会うことができれば、9割は成功」ということを肝に銘じて、決して妥協せず、自分に合った担当者を探してみてください。

    大手ならホームページを見て指名も有効

    不動産屋さんの営業所のホームページにスタッフの紹介がついているときがあるでしょ。
    はい。
    あそこでいいなと思う人がいるんだけど……。
    それなら話が早いですね。
    その不動産屋さんに電話して担当者の希望を言ってみたらいいですよ。

    大手不動産会社の営業所には、営業マンがたくさんいます。
    ホームページにスタッフ紹介が載っているときは、こちらから指名してみてもいいかもしれません。

    会社としても、お客様が営業マンを気に入ってくれて、契約につながれば、これほどいいことはないわけですから。

    いずれにしても、当事者という意識を持って、積極的に行動することが大事だといえるでしょう。

    大手と地元密着業者、どちらを選ぶのが正解?

    大手の不動産会社と地域密着の不動産会社では、メリットが異なります。

    [大手不動産会社に頼むメリット]
    • ブランドネームによる安心感。
    • いろいろな物件の専門家がいて、守備範囲も広い。
    • 資金にも余裕があるので、ネットにも複数掲載してもらえる可能性がある。
    [地域密着の不動産会社に頼むメリット]
    • エリアのことを熟知している。
    • 長年地元で営業することによって、人のつながりがある。
    • 小回りが利く。

    とくに中古住宅の場合、エリア内で探す人が多いので、大手でなくてもエリアの強みを発揮できる不動産会社が有利な場合もあります。
    もちろん大手でも、地元密着型の支店があれば、その支店はエリアの強みが発揮できるでしょう。

    大手だから、中小だから、と決めてしまわずに、最終的には自分で担当者と会って、それぞれの良さを確かめてみることが大切です。

    初対面で「できる担当者」を見極める5つの質問

    「いい担当者」を見分けるには、どうしたらいいんだろう。
    「自分は人を見る目だけは確かだ」とおっしゃっていましたが……。
    仕事上はね。
    「不動産会社のいい担当者」となると話は別でしょう?
    同じですよ。
    「いい担当者」っていうのは、「できるビジネスマン」とも言いかえられます。
    なるほど。
    仕事の感覚で担当者と話してみたらいいのか。
    自分が相手を採用する感覚で接してみてください。
    例えば面接のつもりで、次に紹介する5つの質問をしてみるといいですよ。

    査定の前に「何か用意しておくものはありますか?」

    できる担当者なら、売買取引の全体像が頭にきちんと入っているので、動きに無駄がありません。
    こちらが何も言わなくても、「いつまでにこれとこれをそろえてください」と、わかりやすく説明してくれたり、記した紙を渡してくれたりします

    逆に、手際の悪い担当者にあたると、いらない書類を用意する羽目になったり、あとになって別の書類を用意するよう指示されたりすることもあります。

    忙しい合間に役所に行って書類を用意する立場としては、たまりません。
    「この書類を用意するために出社時間をずらしたのに」とか、「先に言ってくれれば一度に用意できたのに」と、そのたびにイライラが募ります。

    おそらく、買主が現れたときにも、この担当者は同じように手際が悪く、双方をイライラさせるでしょう。

    「ストレスなく」売るためにも、手際の悪い担当者は、絶対避けるべきです。

    「うち◯◯◯があるので高く売れると思うんです!」

    例えば売主が、自宅のアピールポイントを話しはじめると、「そこは、査定には入らないんですよ」と、話も聞かずにさえぎる担当者もいます。

    査定に入らないことは事実だったとしても、大事なのは、売主の気持ちです。
    そこをわからないで、ビジネスライクにことをすすめようとする担当者は、要注意

    なぜなら、これから家を販売していこうとするとき、大事なことは、売主の家に対する思いを、担当者が共有することだからです。

    売主の思いを担当者が共有するメリット

    [売主にとって]
    • 「気持ちをわかってくれた」という満足感が信頼にもつながる。
    [担当者にとって]
    • 価格設定や販売戦略を練っていくうえで、売主が大切にしていることは何なのかを知ることができる。

    また、売主の気持ちを受け止めることのできる担当者なら、同じように買主の気持ちもつかむことができるはずです。

    売却を「スムーズに」すすめるためには、こうした心理的要素に敏感な能力が、とても重要なのです。

    例え最初の担当者に冷たくあしらわれたとしても、決してあきらめずに、すべての担当者に同じ思いを伝えてみてください。
    必ず、メモを取り、うなずきながら熱心に聞いてくれる担当者に出会えるはずです。

    「いつから、このお仕事をされているんですか?」

    不動産売買の細かな手続きなどをきちんと理解するまでには、何年もの経験が必要です。

    ところが、営業マンのなかには、経験の浅い社員も多く、会社に入りたての新人も即戦力として働いています。
    新人が担当になってしまったときは要注意。

    手続きひとつひとつに手間がかかってイライラさせられたり、トラブルのもとになったりすることもあるでしょう。

    また、担当者の経験値の違いで、売却価格に数百万円の差が出ることもあります。

    「経験がある=優秀である」ということではありませんが、その担当者を判断するひとつの指標にはなります。
    雑談をしながら、さりげなく業務の経験を聞いてみましょう。
    場合によっては担当者を変えてもらう必要があるかもしれません。

    「この家のよさを、しっかり買主さんに伝えてほしいんです」

    一見よさそうに見える担当者でも、意外になかなか成約に結びつかない人もいるんですよ。
    どうして?
    買主と同じ立場に回ってしまう担当者がいるんです。
    相手のペースに乗りがちないい人ほど陥りやすいのです。
    買主が迷うと「そうですね~」と一緒に迷っちゃうわけだ。
    そうなんです。
    押しが弱くて、買主の背中を押せないんです。

    人当たりのいい営業マンだと、つい担当者として選びたくなりますが、いい人過ぎないかは見極めておかなければなりません。

    大事なのは、最後まで売主側に立った交渉をしてくれるかどうか、ということです。

    人当たりのいい人は、相手に強く出られたり、また厳しいことを言うのが苦手な人が多いのです。

    そういう人は、買主が迷っていると、つい同じところで悩んでしまい、売主の立場を主張することができなくなるのです。

    売主としては、「こういう風にアピールして、買主の背中を押してください」と、頼んでみることです。
    「それはわかるんですけど、買主様にもご事情がおありですからね」 などと、あいまいな立場の発言が出るようなら、その担当者のところで成約するのは難しいかもしれません。

    「いい人=いい担当者」ではありません。
    このことは頭の片隅に入れておいてください。

    「高く売るために、何かできることはありますか?」

    いい担当者なら、こちらの希望に対して、必ず経験にもとづいた意見を述べてくれます。

    例えば、売主がちょっと高めの価格を設定していたとします。
    すると、そのエリアの相場などから、以下のような戦略を立ててくれます。

    1)売主の希望する価格が適正かどうかを説明する。
    2)「もう少しおさえたほうが売れやすい」「この価格で売り出し、2~3週間様子を見ましょう」と、作戦を立ててくれる。

    または、住宅ローン控除が使えない家の場合にも、ただ「使えませんね」とは言いません。
    「こうすれば住宅ローン控除が使えるようになりますね」「そうすれば価格をもう少し上げることも可能ですね」と、提案をしてくれるはずです。

    こういうアドバイスをきちんとくれる担当者に出会えれば、家の売却は9割成功すると考えてよいでしょう。

    早く高く売るための不動産会社との契約方法

    不動産屋さんとの契約方法が3種類あるのはご存じですか?
    一般と専任と専属専任っていう契約があるって聞いたよ。
    どれにするか、決めてますか?
    どの不動産屋さんも、専任にしてくれって言うんだけどねぇ。
    どれにするかで、売却がうまくいくかどうか違ってくるんですよ!

    売れやすい戸建てなら一般媒介契約

    契約の仕方によって、不動産会社の販売戦略も変わります。
    売ろうとしている住宅の条件によってどの契約を結ぶか、よく考えなければなりません。

    まず、立地や物件の状態など、さまざまな条件からすぐ売れると判断できる家なら、複数の業者と契約ができる一般媒介契約がおすすめです。
    それ以外なら1社だけの専任媒介契約を結ぶのが無難でしょう。

    一般媒介契約だと、複数の業者が競って販売活動をします。
    競争原理が働くため、よりいい買主が見つかりやすいのです。
    もともと売れやすい家なら、あっという間に売れるはずです。

    でも何社とも契約するのは面倒だなぁ。
    一般媒介契約で複数の業者と契約するといっても、せいぜい2社ぐらいがいいと思います。

    ≪媒介契約の種類≫

    一般媒介契約 複数の業者と契約する。交通の便のよい都内の家など、すぐに売れる家にはおすすめ。
    専任媒介契約 1社だけとの契約。よほど売りやすい都内の家以外は、こちらが普通。
    専属専任媒介契約 1社だけとの契約。縛りが厳しく、売主が自分で買主を見つけることもできないので、あまりすすめられない。

    郊外など売却懸念があるなら専任媒介契約がおすすめ

    都内の戸建てのような、適正価格であればすぐ売れるとわかっている物件以外は、専任媒介契約が普通です。

    一社に任せるよりは、競争してもらったほうがいいように感じるかもしれません。

    しかし、専任媒介契約のほうが、担当者が親身になって考えてくれる場合が多々あります。
    担当者が、自分の責任だと思って、丁寧に対応してくれるのです。

    不動産会社との契約有効期間は3ヵ月です。
    一回契約すると3ヵ月間はその契約がつづきます。
    なお、3ヵ月以降は変更しても大丈夫です。

    ただ、3ヵ月以上売れない物件=「旬」を逃した物件になります。
    契約を変えても売りづらいでしょう。
    納得できる契約方法で、3ヵ月以内に売却することを目標とするべきです。

    最低限押さえておきたい媒介契約書の読み方

    不動産会社と契約するときには、媒介契約書を交わします。
    細かいことがたくさん書いてあり、なかなか読みとおす気になりません。
    しかし大事なことが書かれていますので、以下のポイントだけでも見ておくことをおすすめします。

    媒介契約書のここに注目

    ●表面の注目事項ポイント
    • □媒介に係る業務・・・不動産会社がおこなう業務にかかわる事項。業者が査定価格を出すとき、必ず根拠を説明しなくてはならないという義務も、ここに規定されている。
    • □有効期間・・・・・・契約の有効期間。一般的には3ヵ月。自動更新はない。
    • □約定報酬額・・・・・成約価格に対する割合で示される。
    • □約定報酬の受領の時期・・・契約時と決済時に半金ずつ、もしくは決済時一括かを選択する。
    ●裏面の注目事項ポイント
    • □報酬の請求・・・契約の成立時に支払をする。
    • □報酬の受領の時期・・・契約が成立しなければ、報酬を受け取ることはできない。例えば融資が不成立で契約ができなかった場合、そのあとに契約を解除した場合には、報酬は返還されることなど。
    • □費用償還の請求・・・専属専任媒介契約において自ら見つけた相手方と契約をしたり、その他媒介契約を含めて不動産会社の責任はないのに契約解除をした場合、広告料か活動費を請求されることもある。

    一般的な流れで契約が成立すれば、とくに問題はありませんが、次のようなときには注意が必要です。
    契約が成立して手付金を受け取ったあとに、買主が手付金を放棄して解約したいという場合です。

    実は、媒介契約では、「契約が成立したとき」には報酬を支払うことになっています。
    このためいったん契約が成立すれば、たとえ解約されても、法律上、売主は報酬を払う義務があるのです。

    もちろん、不動産会社によっても対応が異なりますし、手付金のなかから支払えれば問題はありません。
    ただ、場合によっては報酬が130万円で、手付金が100万円ということもありますから、要注意です。

    高値で1ヵ月以内に売却するための販売戦略

    媒介契約を結んだあとは、担当者にお任せでいいのかな?
    いい担当者に出会えていれば大丈夫。
    あとは一緒に戦略を練っていきましょう。
    戦略って、いくらにするかということだよね。
    それ以外にも、いろいろあるんですよ。

    戦略次第では3ヵ月どころか1ヵ月で売れますよ。

    築36年の価値ゼロ戸建てが800万円以上アップで売却

    では実例を見ていきましょう。

    ケース

    ◎当初条件

    立地:東京23区内、駅から徒歩数分という恵まれた立地。

    土地:20坪

    建物:築36年の一戸建て。古いので価値はゼロ。

    当初査定価格:3200万~3300万円(土地価格のみ)

    ◎戦略
    • ・250万円かけて、建物基礎・外壁・外観を大リフォーム。
    • ・信用度を上げるためにホームインスペクション(建物診断)もおこなう。
    ◎結果

    4150万円で売却に成功。

    リフォームに250万円かけたことが功を奏して、リフォーム代を差し引いても、当初より600万円売却益(売却したときの利益)がアップしました。

    もちろん、250万円かけてこの価格で売れるかどうかは、一種の賭けでもあるのですが、そこには担当者の緻密な戦略がありました。

    このエリアの戸建て相場は、6000万円前後。
    それならば、相場以下の4000万円台の戸建てがあれば、買いたい人は多いのではないかと考えたわけです。

    そこで、価格を4000万円前半に設定しました。

    すると、当初査定よりも900万円程度価格が上がるわけですから、そのうち3分の1程度を費用と考えて、リフォーム代にしたのです。

    時間と資金に余裕があったから可能な戦略でしたが、とても効果的だったと思います。

    希少価値をアピールする

    次のケースは希少価値をアピールしたケースです。

    ケース

    ある地域で、家の売却希望があった。
    家の広さは、100㎡。
    それを見た担当者は、なぜか、相場よりも高い価格で販売することを提案。
    価格が高いと、売れるのにも時間がかかるのでは、と不安もあったが、予想に反してすぐに買主が現れて売却成立となった。

    いったい、担当者は、この家になぜ高い価格をつけたのでしょうか。
    また、高値にもかかわらず、なぜすぐに売却が成立したのでしょうか。

    カギは、「希少価値」です。
     
    実はこのエリアの建物は、ほとんどが80㎡までです。
    なぜかといえば、各々の土地の広さがほとんど30坪程度なので、都市計画の制限上、これより広い家は建てられないからです。

    100㎡の家を建てるには40坪以上が必要なのですが、このエリアには見当たりませんでした。

    このため、「100㎡の家」と聞いただけで、担当者はすぐ、この地域では希少価値のある家だとわかったのです。

    ベテランの担当者なら、すぐにピンとくる話ですが、これも、担当者選びを間違えていたら、普通の価格でしか売れなかったかもしれません。

    駐車場代などトータルの費用を組み入れて価格を決める

    例えばほぼ同じ条件の家があったとして、一方だけが、窓から遠くにスカイツリーの夜景が見えるとしたらどうでしょう。

    窓からスカイツリーの夜景!
    同じ値段なら、もちろんそっちを買うよ。
    そうですよね。
    じゃあ、その景色のために、ひと月いくらなら払おうと思いますか?
    毎晩、素敵な夜景が臨めるなら、8000円ぐらいは払ってもいいかな。
    この心理をうまく読み取って、不動産の売却に成功したケースもあります。

    ひと月8000円のスカイツリーの夜景代を計算すると、1年で9万6000円です。
    単純計算で、ローンを支払う35年間だと336万円になります。
    そこで、この物件を「スカイツリーの夜景が見えること」を売りにして、予定していた売却価格+336万円で売却したところ、見事に成功したのです。

    つまり、スカイツリーの夜景が見える家が336万円高くても、買いたい人はいるかもしれない、ということです。

    広さや立地などの条件が同じようにみえても、その家の持つ個性が、買主に強くアピールすることがあります。

    「眺望」に価値を認める買主には、ひと月8000円程度の「眺望代」は適正価格であることを理解してもらえば、300万円以上の上乗せも可能なのです。

    逆に、その家を持つことで経費が削減できることがわかれば、それが家の持つ価値に上乗せされることもあります。

    次のようなケースです。

    ケース1 駐車場のある住宅

    都内の駐車場代がひと月2万円前後はかかるとすると、年間24万円の経費削減になる。

    35年で840万円のお得

    この物件の売り=総額24万円のお得

    ケース2 駅から1分の住宅

    • 徒歩20分の住宅の場合、バスで駅までの定期券を購入するとひと月1万円近く支払うことになる。
    • 家族3人だと月3万円の支払い。


    35年で1260万円

    この物件の売り=総額1260万円のお得

    このように、家の価格を考えるときには、以下の2点を念頭に置いてください。

    ①買主が感じている「その家の魅力」を金額に換算して、価格に上乗せできるか。

    ②その家を持つことで、将来的に削減できる経費を、いかにメリットとして納得してもらえるか。

    この2点を明確にすることが、とても大事なのです。

    買主がお金を出したくなる魅力の見つけ方

    うちは眺望もよくないし、駅からも少し遠いなぁ。
    それ以外にも、価格アップにつながる魅力を探すことはできますよ。
    例えば、学校や公園が近い、とか。
    うちの場合学校が近いね。
    そういえば不動産屋さんの担当者が、「この学区の中学校は評判が高いですからね」って言っていたなぁ。
    もし買主に小さいお子さんがいて、学校に近い物件を探していたとしたら、とても大事なポイントになりますよ。

    家の持つ個性のなかで、どの部分に魅力を感じるかは、買主によってまったく異なります

    子どものいる家族なら、学校や児童館が近いことや、子どもが遊べる広々とした公園があることは、大きなアピールになりますし、お年寄りには、近くに評判のいいお医者さんや病院があることを伝えれば、何より安心材料になるでしょう。

    このような「机上査定」だけではわからない魅力を探って価値を見出していくことが、「高く」売るための効果的な戦略なのです。

    エリアにくわしいベテランの「いい担当者選び」が大切だという理由が、こうしたことからもわかっていただけると思います。

    競合する物件のなかでも3本の指に入らないとダメ

    担当者が、「ネットに引っかからないから」と言って、価格設定にこだわることがあります。

    例えば、査定額が4100万円の住宅を、ネットの検索で引っかかるためだけに3980万円で売ろうと提案してきたら、高く売れるチャンスを逃すようで惜しい、と感じるでしょう。
    しかし、売却活動に入っても、希望する人が出てこない場合は、こういう方向転換も必要です。
    ネットの価格検索は、多くが500万円単位で設定されています。
    その前後で、買いたい人からの反響も変わりますので注意しましょう。

    買主が、内覧の候補に上げるのは、何軒ぐらいだと思いますか?
    3~4軒かな。
    その通り。
    だとすると、候補にあがるためには、似た条件の家のなかで、3本の指に入らなければなりません

    候補にもれた家は、内覧に来てもらえる可能性も、ぐんと低くなるということです。

    逆に、価格を決めるときには、これを生かした戦略を立てないといけません。

    何よりもまず、競合する物件のなかで3位以内に入る、ということを、最優先として考えます。

    よい担当者なら、そのときどれぐらいの競合物件があるのか、どの価格帯にすれば有利なのか、的確にアドバイスしてくれるはずです。

    戦略的な「攻め」の姿勢で臨むためにも、担当者と緊密に連絡をとりながら、もっとも効果的な販売方法を考えていきましょう。

    戦略のない販売が危険な理由

    販売戦略は、経験豊かな担当者がいるからこそ成り立つもの。

    手際の悪い担当者ならこうなります。
    「フラット35が使えることをアピールすれば、もう少し高くてもよかったですね」
    「売れないみたいですから、ちょっと下げましょうか」
    このように、あとからこんな場当たり的な対応しかできず、もっとも売りやすい「旬」を逃してしまいます。

    戦略のないまま販売を始めれば、あとでいくら手を打っても効果が出にくく、結局は適正価格よりも安値で売る羽目になってしまいます

    最初から、きちんとした戦略のもとに販売をスタートさせるためにも、売主側の準備と、経験豊富な「できる担当者」は、絶対に必要なのです。

    買主の心をつかみ、契約に結びつける内覧のテクニック

    内覧希望者が来たらどうしたらいいのかな。
    お茶菓子は必要?
    お茶菓子もいいですけど、それより大事なことがたくさんあるんですよ。
    掃除すればいいんでしょう?
    その通りです!
    ただ、それだけでは十分じゃないんです。
    他にもあるということ?
    部屋を「明るく」「広く」見せることが何より大事なんです。

    広く、きれいに、明るく見せるだけで数十万円の差が出る

    家を見せるときに一番大事なのが、水回り。
    キッチンやバス、トイレが汚れている家は、他がどんなにきれいでも、まず欲しいとは思いません。

    「掃除をすればきれいになる」ことがわかっていても、初めに汚いイメージがついてしまうと、その印象を変えることはとても難しいのです。

    場合によっては、多少経費がかかっても、せめてキッチンぐらいはできるだけピカピカに見えるようにしておきましょう。

    内覧の見せ方の原則は、「広く、きれいに、明るく」見せること。
    内覧希望者が来るときは、カーテンを開けておきます。

    昼間でも、暗いかなと感じるようなら部屋の明かりはつけて「明るい家」を演出してください。
    これを心がけるだけでも、数十万円の差になることさえあるのです。

    内覧前の必須チェック3ポイント

    1)水回り(とくにキッチン)
    2)リビング(広く明るくきれいに)
    3)玄関前

    忘れがちなのが玄関前。
    お子さんの自転車が無造作に駐輪されていませんか?

    玄関は、家の第一印象を決める「顔」ですから、きちんと掃除をしてお花を飾るなど「メイク」も忘れずにしておきましょう。

    インテリアに強烈すぎる個性は失敗のもと

    ちょっと確認したいんですけど、まさか壁に写真とか貼ってないですよね。
    え、どうして知ってるの?
    大学時代、バンドやってたから、演奏している写真がいっぱいだよ。
    貼っちゃいましたか……。

    自分の部屋のインテリアが他人にどう映るかということは、なかなかわからないものです。

    お気に入りの写真や、思い入れのある品々を飾っている部屋は、自分には居心地がよくても、あかの他人にとっては、あまり快適な空間とは言えません。

    以前、新婚さんが、二人の思い出の写真を家中に貼っているお宅もありました。

    中古住宅の場合、その家の住む家族のぬくもりが感じられることが、ひとつの利点になるケースも多いのですが、あまりに個性が強調されてしまうと、逆効果になるのです。

    内覧に訪れた方は、「いいですね」とは言うでしょうが、本当にその家に住みたいと思うかどうかは疑問です。

    近年では、インテリアコーディネーターに演出を依頼するホームステージングというサービスもあります。
    忙しくてインテリアまで手が回らなかったり、家の演出方法に悩んでしまうときには、こうした専門家に頼ってみるのもいいかもしれません。

    買主の心をとらえて離さない内覧時の会話術

    その昔、担当者が部屋を案内しているのに、売主はリビングで黙ってテレビを観ているだけ、というお宅がありました。
    買主は、申し訳なさそうな様子でそそくさと帰り、もちろん成約には至りませんでした。
    売主がそういう態度では、買主に「買いたい」という気持ちを起こしてもらうのは、まず無理でしょう。

    内覧時には、売主はできるだけにこやかに応対して、買主の質問に答えるようにします。
    家や地域のこと、買い物の利便性や小中学校のことなどを楽しそうに話すことができれば、家のイメージはアップします。

    買主はきっと、「自分も、この家でこの人のように幸せに過ごしたい」と、自然に思うようになるはずです。

    決して、営業マンのような巧みな弁舌はいりません。
    家のよさや家族の温かみがきちんと伝えられるような、好感度の高い「会話術」を、家族みんなで工夫してみてください。

    内覧時間が長いほど契約成立の確率は高まる

    内覧時は家を一通り見てもらったあとも、買主にはリビングに座ってもらって、ゆっくりと話をする時間を持ちましょう。
    一般に、内覧に時間をかければかけるほど、成約する可能性は高くなります。 

    もちろん興味を持つ家だから、買主が長く時間をかけてみる、ということもあります。
    それだけでなく、売主と長く話をすることで親近感がわき、「この人から買いたい」という気持ちが強まるからです。
     
    売主に対する好感度が高まれば、「この人が住んでいた家なら安心だ」という気持ちにもなります。
    くつろいで話をしている間に、思いがけない共通点が見つかって盛り上がったりすることも珍しくはなく、「ご縁ですね」などと言って、とんとん拍子に決まってしまうこともあるのです。

    内覧の前には準備が必要ですが、いざ買主に接するときには、必要以上に「よく見せよう」とすることはありません。

    旧知の仲を迎えるときのような温かさで、買主を迎えることができれば、内覧は成功だといえるでしょう。

    競合者がいるときは、あえて同じ日にセッティングするといい

    複数の購入希望者から内覧の希望を受けたときには、ちょっとした作戦が効果的なこともあります。
    できるだけ同じ日に来てもらい、他にも購入希望者がいることを、あえて知ってもらうのです。

    ひとつしかないものを買う時に競合者がいることは、その商品に対する心理的価値が、より高くなります
    「早く購入を決めないと、他の人に買われてしまうかもしれない」
    「他にも欲しがっている人がいる」
    そういう思いが、買主の背中を押してくれるからです。

    一日に何組もの内覧を受けるのは疲れるかもしれませんが、2組ほどなら無理なくこなせるのではないでしょうか。

    時間をうまくスケジューリングすることができれば、とても効果が上がるはずです。

    信頼できる買主かどうか、自分の目で見極める

    内覧は買主候補と直接話せるチャンスです。
    緊張しちゃうなぁ。
    買主だって緊張していますよ。
    だって内覧は、売主が買主を決める重要な時間でもあるんですから。
    こちらが、内覧に来てくれた人のなかから売る相手を選ぶということ?
    そうです。
    信頼できる買主を選ばないと、最後まで契約履行されないかもしれないじゃないですか!
    売主には、買主を見極める目が必要なんです。

    最初に訪れた買主は、高く買ってくれる可能性大

    販売開始と同時に、すぐに内覧の申し込みを受けることは、よくあります。
    売主としては、「こんなに簡単に売れるのなら、もっと高くしておけばよかった」などと感じて、ちょっと損をしたような気になるものです。

    ところが、これはとても危険なこと。
    なぜなら、すぐに購入を希望したということは、その買主が、ずっと市場を探しながら、待ち続けていたことを示すからです。

    買主はおそらく、希望する物件がようやく現れたと喜んで、すぐに連絡をしてきたのでしょう。
    つまり、その家の価値をもっともよくわかっていて、とても真剣に購入を考えているのが、最初に現れる購入希望者なのです。

    これを知らずに契約を渋り、「もっとよい人はいないか」とぐずぐずしていると、「旬」の時期を逃して、家の価値は下がってしまいます

    そうなってから、いざ最初の希望者に売ろうと思っても、後の祭り。
    結局、価格を落とす羽目になることも珍しくはありません。

    くれぐれも、最初に訪れた買主は、大切にしてください。

    提示された金額だけで売却先を選んではいけない

    複数の買主から購入希望があったときは、提示された金額だけで決めるのはとても危険です。

    次の手順で買主をチェックしましょう。

    買主チェックの手順

    1)買主が「本当に買うことができるのか」をチェックする
    2)内覧時の印象がよかったかどうかを思い出す

    1)の購入能力については、担当者が年収などを調べれば、ある程度はわかります

    けれども、「買える」と「買ってくれる」とは、異なります
    途中で気が変わって放棄されたりすると、売主は販売をゼロから再スタートしなくてはなりません。
    他の買主は、すでに別の物件を買っている可能性も高いからです。

    このため、買主を決定するときには、本当に買ってくれる買主を選ばなくてはならないのです。

    ここで必要となるのが、内覧のときの印象です。
    ある程度話をしてみれば、買主がどの程度本気で買うつもりなのかは、推測することができるはずです。

    提示金額だけにだまされないように、内覧のときには、きちんと買主を見極めておくことも忘れてはなりません。

    プロが教える一戸建て売却のお悩み

    家を売るためには戦略が大事ということがよくわかったよ。
    あとさ、実際の売却期間ってどのくらいなのかな?
    不動産屋さんの担当者を途中で変えたりできるの?
    はい。
    知れば知るほど、次々と疑問がわきますからね。
    お答えしますよ!

    Q 売却期間はどのくらい見積もればいい?

     
    早ければ1週間で売れることもあります。
    一般的には3ヵ月程度を目安にすればいいでしょう。
    それ以上長引くと、「売れ残り」のイメージがついてしまうので、
    場合によってはいったん引き上げて、しばらくしてから新たな情報として掲示する、という戦略も必要かもしれません。

    Q 不動産の実勢価格を調べることはできる?

    「実勢価格」は、過去におこなわれた取引から導き出された価格で、くわしくは不動産会社しか見ることはできません。

    けれども、年に一度公表される「公示地価」や、国土交通省の「土地総合情報システム」不動産取引価格情報でも、ある程度の目安はわかります。

    また、エリアで配られる不動産関連のチラシを見ていれば、だいたいの価格帯を知ることはできるでしょう。

    Q 媒介契約を結んだあとに、担当者に不満がある場合にはどうしたらいい?

    我慢は禁物。
    不満を溜め込んで、いいことはありませんので、担当者を変えてもらいましょう。
    担当者を変えてもらうように言うことは、まったく問題はありません。
    ですが、言いにくいことも事実です。

    その場合は、例えば「弟がどうしてもダメだと言うので……」とか、家族のなかで一人『頑固者』を作っておいて、その人のせいにしてしまうのも一案です。

    いずれにしても、売主が当事者なのですから、遠慮はせず、納得のいく形ですすめてもらうようにしてください。

    Q 空き家にしてから売りに出すほうが売れやすいのでは?

    必ずしも「空き家」がいいわけではありません。

    むしろ、殺風景な空き家よりも、ぬくもりある家のほうが、プラスに働く場合もあります。

    もちろん、好印象を持ってもらうために、「広く、きれいに、明るく」見せる努力は惜しまないでください。

    Q 内覧の申し込みが来ない。来ても成約に至らないのはなぜ?

    購入希望者が現れないということは、最初の戦略にミスがあります。
    何事も、事前準備がすべて。
    同じ市場で3本の指に入るような条件になっていない恐れがあります。
    「価格と商品内容」がマッチしているかどうかを考え、早急に戦略を見直してください。

    Q 建築調査・ホームインスペクション(住宅診断)はしておいたほうがいい?

    一般的には、買主からの希望がなければ、とくにする必要はありません。

    ただ、詳細な調査は、リスクを負う一方で、買主に安心してもらえるというメリットもあります。
    買主が自らおこなう場合もありますので、状況に応じて担当者に相談してみるといいでしょう。

    CHECK インスペクションって何?

    Q 買主が決定したら、転居の準備は始めてもいい?

    契約が成立するまでは、動き出さないほうが無難です。
    買主が途中で気が変わる可能性もありますし、契約後でもローンの審査で断られることもあります。

    次のステップを踏み出すのは、契約が終わり買主のローン審査が終わってからをひとつの目安にしてください。

    まとめ

    • ・売れ残り物件はそのあとも売りづらい。戦略を立てながら3ヵ月で売却する。
    • ・不動産会社を決めるときは、3~5社の業者に査定を頼み、査定内容をよく検討し、最終的に担当者の良し悪しで決める。
    • ・売れやすい物件なら一般媒介契約を結ぶ。
    • ・価格を少しでも上げるために、希少性や魅力を検証し、販売戦略を立てる。
    • ・内覧時に立ち会い、内覧希望者とたくさん話すほど、契約は成立しやすい。
    • ・最初に希望してきた買主は高値で買う可能性が高いので大事にする。

    実際に我が家がいくらで売れるか一括査定してみる

    

    

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    畑中学・不動産コンサルタント

    畑中学・不動産コンサルタント

    ◎1974年東京都生まれ。武蔵野不動産相談室株式会社代表取締役。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士。


    ◎東京農業大学大学院で造園を学び、設計事務所に就職。その後、不動産会社に転職し7年間勤務。不動産の販売・企画・仲介業務に携わり、当時最年少の32歳で支店長になる。


    ◎2008年、リーマンショック後に武蔵野不動産相談室株式会社を設立し、不動産コンサルタントとして独立。自身が幼少期に相続問題で自宅を失った経験から、相続でこじれた不動産を扱うことを得意とする。不動産会社が扱いたがらない親族関係の解決と金融機関への対応をすすんでおこない、一族の資産を守る「親子・親族間の自宅売買」に定評がある。また、資産性の高い不動産購入へのアドバイスと、中古住宅の価値を見極める“建物の健康診断”(ホームインスペクション)も得意とする。年間300組超の相談者に助言し、受けた依頼の解決率は97%を誇る。


    ◎親子・親族間の不動産売買、資産性を見極める不動産売買、相続関連業務をメインに、「大切な自宅や不動産、資産を守り承継させていく」という信念のもと、依頼者の問題解決に努めている。


    ◎不動産に関する真摯な取り組みが、NHK「おはよう日本」、読売新聞、日本経済新聞、週刊住宅などで紹介されている。その他、講演会・セミナーの講師、公的機関のテキスト作成、民間の不動産資格の試験委員など、不動産・建設業界での教育活動にも力を入れている。


    ◎主な著書に、『2時間で丸わかり 不動産の基本を学ぶ』、『不動産の落とし穴にハマるな!』(ともにかんき出版)、『はじめて不動産でお金を稼ぐ。』(秀和システム)がある。



    不動産コンサルタント畑中学のブログ「不動産コンサル手帳」

    http://ameblo.jp/1974123/

    武蔵野不動産相談室株式会社サイト

    http://www.mf-soudan.com/

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